ひきこもりポンコツメンヘラ

ひきこもりの生活保護受給者の日常。アパートの一室から呼びかけています。生活の記録。実況中継。自分語り。統合失調感情障害。

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【音楽鑑賞】中島みゆき/あ・り・が・と・う(3rd)

好きなアルバムなどを買うのを1ヶ月に2枚までだと決めたので、月が明けて晴れて、中島みゆきの3rdアルバム「あ・り・が・と・う」(1977.6.25発売)をダウンロードで買った。

このアルバムも昔よく聴いたけれどいつ頃だったかまでは覚えていない。高校生の頃には中島みゆきの全アルバムを集めていたので学生時代に聴いたのだと思う。

「あ・り・が・と・う」は名曲「ホームにて」が入ったアルバム。その他の曲は地味かというとそうでもなく、語りどころもあるので全曲感想を書きたい。

 

あ・り・が・と・う【リマスター(HQCD)】

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❶遍路

お遍路する女。

男運の悪さ。知り合った男が「サナトリウムに消えて、それきり戻ってこなかった」り「仲間たちの目の前で大声で手紙読み上げた」り「前借りに現れ雲隠れ」したり、他もとんでもないシチュエーションで泣ける。

1番むごいのは「2人で暮らす家の屋根を染めに登ってそれっきり」...これは悲惨。せっかく幸せになれそうだったのに。男運が悪いどころじゃないわ、神様のひどい仕打ち。

主人公はそんな雑事を忘れるため振り切るためにかお遍路に出たようだ。でも帰り道はないんだよね。

遍路(リマスター)

遍路(リマスター)

 

❷店の名はライフ

足踏みみたいなジャカジャカと、のんびりした出だし。みゆき様はオールナイトニッポンで「ペッタン」とか言って、貧乳なことをギャグにしていたけれどコンプレックスがあって胸に目が行ってしまうのか「おかみさんと娘、母娘でよく似て見事な胸」と、胸のことを繰り返し歌っていて、かなり執着しているように見える。

ライフという常連の店について歌っているよう。「どんなに酔ってもたどり着ける」のだから相当常連なのだろう。

 

❸まつりばやし

イントロのギターの悲しげな感じ、どんなことが歌われるのか、もう悪い予感しかない。

「まつりばやし」はみゆき様の亡くなられたお父様への追悼歌だと言われているのを聞いたことがある。そう考えると染みる。

真実はわからないが“おまえの最後”“眠りつづける”など死を連想させる歌詞があり、比較的低い声で歌っていて最後に高くなる時も抑え気味。悲しいことだからこそ、抑えて歌っているのかもしれない。力強い感動曲ではないけれどこういう静かに訴えかける曲も好きだ。

 

❹女なんてものに

女嫌いになった男の歌。相当、女に絶望した男らしく、聴いていて辛くなる。そんな男を「哀しい」とみゆき様は歌う。それでも男のことをまだ好きで、帰ってきて欲しいと願う女の心、複雑。

 

❺朝焼け

この曲は初めて聴いた当時「怖い」と思った。みゆき様の曲は何のジャンルか分からなくて、ブルースなのかロックなのか何なのかという分け目がなく思う。全部ひっくるめて“みゆき曲”なのかもしれないが、みゆき様は「いつもロックのつもりで歌っている」といつだったかインタビューで答えていたから曲調に関わらず、心意気はロックなのだろう。

「例のひとと二人」のような大人の事情な言い回しがある。

 

❻ホームにて

中島みゆき裏ベストとも言えるような渋い1曲。情景が目に浮かんで目に染みる。

ピーン、ピーンというギターの音色が寂しさを煽る。

個人的には東京行きの最終によく乗っていた20代の頃を思い出す。地元に帰る時も最終だった。最終列車というのは哀愁がある。汽車がホームにいるだけで、しんみりとする。そんな風景を思い浮かべる。

この歌はなぜか切符を燃やそうとしている。「ネオンライトでは燃やせない」...どういうことかよくわからない。何か燃やさなければいけない理由があるのか。とにかく侘しい歌だ。

 

勝手にしやがれ

「ホームにて」が終わって、ゴールまでもうちょっと!

右へ行きたきゃ右へ行け、山へ行きたきゃ山へ行け、あたしはおもちゃじゃない...という男から自立したい女の歌かと思ったら、別れてみたらあなたのわがままが恋しいという何だか勝手な女の歌だった。男から自由になりたい曲に私は聞こえたが、その反面離れられないのかな。「どうしようと勝手」と歌っているけれど寂しいのかもしれない。何にせよ「おもちゃ」扱いする恋愛関係は危ないだろうと思う。

 

❽サーチライト

ここまで来たら、ゴールまでもうちょっと!

これは地味曲。歌詞も何を歌ってるのか要領を得ず、深く残らない。何のジャンルなのか。ブルースと歌詞になっているがブルース?なのかな。ファーストアルバムに入っていそうな埋もれた名曲っぽい。サーチライトであの人を探せという歌。

 

❾時は流れて

「ホームにて」で力尽きた感のあるこのアルバム最後の曲。しっとりした曲だが山場がない。そういう曲もある。J-POP的なサビと山場の応酬のようなつくりではなくて、ただ寂しく感じる。みゆき様の声が震えている。泣いて歌っているのも辛いが揺れるような震えも切ない。低くかすれた声も心に響く。

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「ホームにて」は言わずもがなの名曲。私は「まつりばやし」を推す。この頃のみゆき様は静かだが、熱唱曲だけが名曲とは限らない。

「ホームにて」はベストなどにも入っているから、あえてこのアルバムを聴くことはないようにも思えるが、初期の中島みゆきを知るには実りがあると思う。コレクションだと割り切ればいい。なんか貶しているような気がするけれどもいいアルバムには違いない。

 

長くなりましたが読んでいただけていましたら幸いです。

ではまた!😛